最年少政令市長が経験した地方政治改革(4):どうして行政はダメになってしまうのか (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン
一言で言うと目的関数が違う事例が沢山出てくる。彼らのゲームと我々のゲームが違っていてどちらも正しい。
例えば公園管理の部署
県の公園部隊からすると、貴重な公園面積なんです。彼らは“公園面積を○ヘクタールから○ヘクタールにする”という計画の中で、予算を確保してきているわけです。だから、「公園じゃなくてもいいじゃない」と言っても、彼らの論理的にはやる理由がないんです。
警察の目的と責任論
警察からすると、自転車ラインを増やせば、自転車事故が増えるかもしれないということになります。彼らは事故を減らすのがミッションなので、警察の許認可権限を緩くすることで街が活性化しようと基本的には関係ないわけです。ですから、彼らは止める。
例えば花火大会などのイベントをやろうとしても、警察が基本的にうんと言わないということがたくさんあるんです。イベントがあって盛り上がろうと、彼ら自身はむしろ疲れるわけなので、あまりイエスという理由はないわけです。
もちろん熱い気持ちのある人たちもいて、「やろうよ」と言ってくれたりもしますが、組織としてはやればやるほど彼らは土日に動員させられて、しかもリスクと常に隣り合わせで、事故が起きたら彼らのせいにされる。
明石歩道橋事故という亡霊。
そして公務員の正しい姿とそれがもたらす危険性。
彼らは公務員であって、しもべなんですよ。選挙で選ばれた人間の言うことを聞くということが公務員が徹底して叩きこまれている論理なので、彼ら自身が自主的に判断と責任を持つなんてことはあってはならないことなんです。トップが言えば絶対なんです。
「あなた、危なくないと言っていたじゃないか」と言ったら、「いやこれは上が大丈夫だと言っていたので、我々が大丈夫じゃないなんて言えるわけないじゃないですか」と。基本的に選挙で選ばれた市長の言うことを何が何でも聞くというのが公務員なんです。
最後に市民(国民)へのきつい指摘。
なので、市の幹部は「経営者じゃないです」と言って、議員に「あなたたち責任ありますよ」と言っても「そんなことないよ」となるわけです。だから、経営者がいないんですね。制度上はいることになっているのですが、事実上いないんです。唯一、市長だけがまだ経営責任を感じているわけですが、その市長ですら選挙を意識しますから、これからの時代は特に、分の悪いことしかできません。そうすると全体の責任がとれないので、誰も結局やらないということが現象として起きてしまうジレンマがあります。
なぜ行政が動かないかという本質論である。
止めることの難しさ。公務員のストレス。説明責任の過多。
なので仕事を見直すと、市民に影響が出るものが多くて、市民からのクレームや議会からの説明要求が職員にはものすごい心理的な負担になります。頑張っても別に報われないですから。そのために目的ではなく、とにかくもめないような手段やプロセスを優先するという、本末転倒の結果がよくあります。
だから新規事業でも
それからどうしても先例、他市の事例がないとやれない。それは説明が付かないからです。
公務員は客を選べない。
それからもう1つ、一応役所をかばうと、民間と決定的に違うのはユーザーが選べないんです。民間のみなさんはユーザーが選べないといった瞬間、おかしくなってしまうと思います。ユーザーが選べない環境の中でやっている。議会という常時要求をしてくる機関が存在している。給与が組織の業績と連動しない。これが究極かもしれません。
客はどういったひとか。
それから、市内の団体はやっぱり行政からの補助金をあてにする文化がありますね。行政にコンタクトをとってくる人たちは行政に頼らないといけない人たちが多くて、行政の補助金をあてにしない人とは普段コンタクトしないので、どうしても偏りが出てしまう。
まとめ。
書かれていることは何一つ新しいことはない。勘のいい人ならすぐに気がつくだろう。
役所では何かを生み出すとき、止める時の反対圧力がものすごい。
選挙で勝つには悪いことは出来ない。財政悪化をもたらす政策が当選の秘訣である。
虚妄の公務員批判がなくなることを願う。

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大阪編
東国原さんも知事になったあと一番大変だったのは、公共事業をカットする方向。談合をやめさせるっていうね。東さんが「あれが一番大変、ホントに身をさらわれて、おどされるようなことは地方行政っていうのは出てくるから、一番苦しいのはそこやで」っていうふうに、具体的には語ってくれないけど、東国原さんはそう言ってたのね。だから橋下府知事になったあとに、『たかじんNOマネー』で会ったときに「これだけの改革をやったら身の危険もあるでしょうし、お子さんどうしてるんですか?」って訊いたら、「そこが一番大変ですよ」って。
水道橋博士:
いつ、とんでもない目に遭うかわからないからって。特に大阪の土地柄もあるでしょ。それを聞いて俺はね、橋下徹ってすごいヤツだなと思った。
水道橋博士:
だから知識人の人たちに、「リングに上がれよ」って言ったって、橋下に論戦で負けるっていう、その危機感だけで躊躇しているわけじゃないんですよ。もっとダークでディープで恐ろしいところがある。

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