大阪教育行政の必敗 学校図書館

大阪の行政は「状況は悪いが最悪ではなかった」というのがわかってきましたね。

いろいろな前提があっての悪い結果だったのに、その前提を分析しないで「改革」をやるとその「最低」な行政サービスすら維持できない。

これからの財政状況をみると色々削ることになるので、これに似たことが多数起きることは予測できます。大阪だけの話ではありません。

問題は自分(意思決定者)の責任において削ったはずなのに、現場(行政)に責任を押しつける態度があるかどうかです。

大阪府立高:「開かずの図書館」2割…行革で専任司書廃止
毎日新聞 2014年09月22日
http://mainichi.jp/select/news/20140922k0000m040117000c.html

2009年に行政改革で専任の学校司書が廃止され、業務を割り振られた教職員の手が回らないのが理由。

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学校は兼職でぎりぎり回しています。質を問うのは筋違いです。教師の質ではなく、そういった仕事をさせていることが問題です。学校業務は意外と知られていないので論点が見えにくいのです。
開かないという選択をした学校は褒められるべきです。管理できないから時間で閉鎖するという正しいことをしました。事件が起きてからでは遅すぎるのです。

なぜ廃止できないか?
それは法律があるからです。

学校の図書館は法律で義務づけられています。

学校図書館
(設置義務)
第3条 学校には、学校図書館を設けなければならない。
学校図書館法

だから削減という蛮勇に対し府教委は対応しなければならなかった。

橋下徹知事(現大阪市長)が就任直後の09年、財政難による人員削減の一環から、図書館専任の実習助手の廃止を決定
http://mainichi.jp/select/news/20140922k0000m040117000c.html

府教委の選択はこれしかないという悲しい選択だった。いくら法律を無視したくても。最初の削減という部分が問題だった。

(設置者の任務)
第6条 学校の設置者は、この法律の目的が十分に達成されるようその設置する学校の学校図書館を整備し、及び充実を図ることに努めなければならない。

(設置者は教育委員会ではなく、この場合は大阪府です)
教員は忙しすぎるので片手間の仕事になりやすい。残り8割も現場の踏ん張りで稼働させていると見るのが正しいと思われます。

2009年に行政改革で専任の学校司書が廃止され、業務を割り振られた教職員の手が回らないのが理由。府教委は司書の代わりに全教職員が協力して図書館業務をカバーするため、各校に運営組織の設置を指示

だからこのような指示は本来責任を問われなければなりません。もちろんそういう指示を出したのは予算を削ったからです。

一方で、司書教諭の資格を持った教員の配置を推進したが、担当教科の授業と兼任になるため、図書館業務に割ける時間が限られるのが実情という。
http://mainichi.jp/select/news/20140922k0000m040117000c.html

それから司書教諭と司書は別の資格です。
学校司書の割合の推移。いったい何をしたんだ?

大阪府は43.2%で、08年度の95.4%に比べ低落傾向が顕著だった。
http://mainichi.jp/select/news/20140922k0000m040117000c.html

一番の問題は「教育が」と言いつつ予算を削っているところです。当たり前ですが削れば質は確実に落ちます。それなのに現場に責任を押しつける態度は問題です。教育は長期の投資です。

本がある環境という存在が重要です。しかも身近にです。子供たちのとって身近とは学校です。家に本棚がない家庭でも学校にあればある程度補填できます。一番は家に本があることです。公立図書館は遠すぎます。学校が一番コストがかからないのです。

図書館は専門職の仕事です。しかし現状では公立の図書館でもほぼ間違いなく非常勤(パート)扱いです。

なお、神奈川県の横浜市では2013年10月から、時給1100円程度の専任の学校司書の導入を進めている。
「開かずの図書館」大阪府立高校の約2割 橋下知事時代の行革が原因

一番の問題は予算(現実)と法律(政策)が離れていることなんです。

図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1) (角川文庫)

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こちらは正しい方向です。高校の件があったからですが。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140922/waf14092211300011-n1.htm

教育は希望するほど万能でもないし、絶望するほど無能でもないです。学校の外で起きていることは学校の外で対処するしかないのです。

削減をちらつかせ現場に不要な圧力をかけた結果でしょう。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140731/waf14073100000003-n1.htm
「一度悪化した治安は容易に回復しない。そのツケは善良な市民に回される」

 平成20(2008)年4月、財政再建で大なたを振るう就任初年の橋下徹府知事(当時)を前に、府警の担当者が強い口調で訴えた。

議題になっていたのは、警察官定数を520人削減するという知事直轄のプロジェクトチーム(PT)による改革案だ。

 府警側は「あり得ない選択」と猛反発。最終的には橋下氏も「府民は治安向上を期待している」とPT案を撤回した。

 議論に強い橋下氏を相手に定数を死守したが、9年連続で全国最悪だった街頭犯罪抑止へのプレッシャーは高まった。橋下氏もさかんに「ワースト返上」を訴えた。府警は翌年、行政や事業者を交えた会議で「23年度の返上」を誓い、後に退けなくなった。

大阪府警が過少計上 偽装招いた「ワーストワン返上」の呪縛:イザ!

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