そもそも公務員が少なすぎるので現場に予備戦力がない。そのため非常時に対応できない(通常業務でも人手が足りていない)。さらに応援部隊を編成するにしても、送り出す側も数が足らない。そして中央官庁(霞ヶ関)は残業前提で回っている。
2011年の東日本大震災で被災自治体へ他の自治体から応援部隊を送ったが、送った側の自治体で人手が足りず業務が回らなくなったそうだ。どこの自治体もギリギリで回している。
千葉 影響続く33市町村のほとんど 被害の全容把握できず | NHKニュース
把握できてないということは「現地で調査する人の数が足らず情報が上がってない」か、「上がっても人が足らず処理できていない」と思われる。東日本大震災では、被災自治体で復興予算が特盛りで付いても、それを捌くだけの人員(公務員)がいなくて復興が滞ったことがあった。
今の地方自治は住民の自助努力が前提でできている。別の言い方だと、平時から公務員を予備兵力として雇っていないため、こういう結論が導き出される。
常備軍は多額のお金(税金)がかかる。
これで見ても日本の公務員数は少ない。人口千人当たり80人程度が普通であるのに日本はその半分しかいない。州政府の機能が大きいドイツ、米国では地方公務員の数が多い点が特に目立っている。日本はたとえ財政支出から見て「大きい政府」だとしても(実はそうではないが)、公務員数では確実に「小さな政府」であるといえよう。
「行政のムダ」がマスコミ等で大きく取り上げられ、行政改革が大きな課題となっているが、以上のようなデータからすると、「行政の不足」の面も同時に存在している可能性が高く、それ故の国民の不幸が生じている可能性も大きい。
強調引用者付記
日本の国民負担率は37%と、OECD諸国の中でアメリカに次いで低い。今の財政赤字をすべて増税でファイナンスしても50%に満たず、先進国では最下位グループだ(経済財政白書)。だから小泉政権でも「小さな政府」というスローガンはやめて「簡素で効率的な政府」などというようになり、安倍政権では「筋肉質の政府」という変な表現も出てきた。しかし行政の効率を公務員(独立行政法人などを含む)の人口比率で比べても、日本は1000人あたり35人と、OECDで最低だ。つまり数値的な国際比較で見るかぎり、日本はすでに効率的な政府なのである。
強調引用者付記
さらに技術系と行政系で技術系はあまり待遇が良くない。獣医問題で揺れた某私大の話だけど、根本は官より民の方が高い給与なので卒業生は民に行って、なおかつ官は人手が足らないので公務員獣医が事務仕事までやるという悪循環があるそうだ。
現場は非正規職員で回している。
「南房総で台風被害の復旧が遅いのは、地形上の困難も理由」⇒「戦国時代に北条が里見を倒せなかったのはこれか!」 - Togetter
災害時の職員不足は全国的な課題だ。全国の市町村職員数はここ20年でほぼ右肩下がりで、1998年(154万人)から2017年(135万人)で12%減っている。昨年7月の西日本豪雨では発生当初に避難所の運営が滞り、その後もインフラの復旧に当たる土木系の職員らが足りない事態が生じた。
市町村全体の職員数は、2005年度から2017年度の間で約11%減少しているのに対して、市町村における土木部門の職員数の減少割合は約14%であり減少割合が大きくなっている。こうした結果、技術系職員のいない市町村の割合は約3割に上っている。
情報を上げる人さえいないという。軍隊は最初に情報系統を攻撃する。そうすると事実上無力化できるからだとか。
市町村からのシステム入力で被災状況を把握して派遣することになっていたが、市町村が被災者対応に追われて入力できなかったり、停電に伴う通信障害で報告できなかったりしたという。
台風 報告ない13市町村も大きな住宅被害か 千葉県が実態把握へ | NHKニュース
無駄遣いを許さない=決済にものすごく手間暇がかかるようになっている。さらに日常でさえ人手不足なのに緊急時ならなおさら。これは震災の時に言われていたこと。
台風被災地が「専門技術あるボランティア」を募集せざるを得ない理由 「タダでやらすな」で済まない事情がある : J-CASTニュース