中国史を理解するための本

成毛眞氏の『毛沢東の大飢饉』 - 成毛眞ブログに触発されて中国を理解するための書籍を数冊紹介する。これを読めば表面ではなく内部の考え方がわかるかもしれない。

毛沢東についてはいろいろ言われているが、多くは起きたことの記述にとどまる。それは中国人的考え方というものを見ていないからである。

これを最初に指摘した人は『この厄介な国、中国』の著者である岡田英弘である。東京外語大の名誉教授でモンゴル史研究者である。

国史研究にありがちな中国そのものを研究した人ではなく、その周辺、中華的に言えば中華の外にある化外(けがい)の民である蛮族の民族を中心に研究をした人物である。ちなみに中華的に言えば日本も東夷という蛮族である。

岡田がこの本で指摘したのは面子の国で生きる作法である。その延長にある大躍進運動文化大革命は権力闘争である。その結果として人民が犠牲になった。

ほかに参考になるのは中国史全般の理解となる『中国の大盗賊・完全版』である。完全版と銘打ってあるのは、以前まだ左翼思想が全盛の時に憚られた記述が復活させたからである。中国は歴代の皇帝とはどのようにして成り上がったのかという解説である。

大盗賊とはこそ泥ではなく、部下何千人という一大勢力のことである。有名なのは後漢王朝末期に現れた黄巾族である。しかし彼らは皇帝にはなれなかった。皇帝になれたのが歴代の王朝の始祖であるというのが本書の要約である。

ほかに『醜い中国人』があるが古本でしかお目にかかれない。

さて本書であるが大躍進運動で死亡した人数は諸説あるが少なくとも2000万人が死亡(飢餓で死亡)したと思われる。
『中国人口超大国のゆくえ』によると非正常死という表現で出てくる。手元にないので曖昧な記憶だが、人口統計上変な凹みがある。側近の医師が書いた『毛沢東の私生活』では北京でも食べ物が少なくなっていることが記述されている。

この厄介な国、中国 (WAC BUNKO)

この厄介な国、中国 (WAC BUNKO)

中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書)

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上記二冊はおすすめです。
中国人口超大国のゆくえ (岩波新書)

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毛沢東の私生活〈上〉 (文春文庫)

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毛沢東の私生活〈下〉 (文春文庫)

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