人が空を飛べることを前提にする議論の無駄

原発以降色々な議論が出ているが、どれも当てにならないのは前提が間違っているから。

  1. 日本人はゼロリスクを求めている。

これは日本人の性質である。失敗は許されないために必死に勉強をするし、一度外れるとモチベーションが落ちほとんどやらなくなる。ちなみにこれは中堅高校問題と言うらしい。そして究極的には「失敗するならやらない方がまし」となる。

原発は安全か?と問われれば政治的には安全と言わなければならない。彼らは「嘘」をついているわけではない。そう要請されているだけである。
100%安全は存在しない。技術者や科学者は絶対とは言わない。だから「安全と言ったではないか」は意味がない。避難誘導の訓練もしない。なぜなら絶対安全であることを日本人の感情として要請されているから。避難訓練をすれば安全でないということになり、嘘をついたことになる。だから出来ないし、やらないし、想定しない。想定外は本当に想定外である。
安全を求めれば求めるほど危険が増す。

  1. インセンティブ問題

何々すれば儲かるというのがインセンティブである。不正を告発しても報われなければだれも口を紡ぐ。ちなみに日本はマイナス査定が基本の原点主義。何もしないほど報われる仕組み。何もしないことがもっとも効率がよい。集団主義はその結果でしかない。集団が無くなれば「旅の恥はかき捨て」という行動をとる。

八百長が何故起こるか? インセンティブ設計(番付)に間違いがあるからである。ヤバい経済学の著者が相撲の八百長を数学的に論じた。結論は八勝と七勝の境目が歪でおり八百長を誘発しやすいというもの。力士の責任ではない。力士は閉じられた箱の中で選択をする。決して心の問題ではない。ガチンコで勝負をすれば怪我をして引退の危機に曝される。これは経済問題である。だから長く土俵に居続けるにはガチンコを避ける意義が生まれてしまう。韓国サッカーで八百長が問題化したが、セカンドキャリアパスなど経済問題が主因と結論づけられている。

(1)選手引退後のセカンドキャリアの問題
(2)厳しい上下関係
(3)年俸格差
韓国サッカー界を襲う八百長騒動。不正の裏にある3つの背景とは?

飛行機事故はインセンティブとして罪を問わない代わりに証言を取って安全性を高めている。日本ではやっていないと思われる。

ヤバい経済学 [増補改訂版]

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  1. 決断のコストが高すぎる

インセンティブの補論として
例え方策が出来たとしても決断をするのはリーダーである。日本人は決断するリーダーに敬意も金銭も支払わずただで貰おうとするので、質の高いリーダーを買えない。決断できるのは利害がハッキリした大株主である創業者社長である。ソフトバンクユニクロ旧ライブドア楽天日本電産は創業者社長である。
ただより高い物はない。
日本人を苦しめているのは日本人の性質である
独裁者型首長を求めているのはこのあたりの問題の解決方法として国民が望んでいるのかも知れない。

リスクに背を向ける日本人 (講談社現代新書)

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実は日本的な問題でもなくて、例えばコンコルドの誤謬というのがある。別名埋没費用。
政治的に失敗は出来ないので、あえて失敗とわかっていても止められない。わかっていても止められないというのは一六年夏の敗戦に詳しく描かれているらしい。敗戦確実を予測した官民のエリート達。しかし戦争を選択したのは何故か?
昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)

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年金問題財政赤字も政治家や公務員の問題ではなく国民の問題である。これからは何をしないかを決めるようにしないければ破綻する。実は破綻を望んでいるのかもしてない。終わらせてることで強制的に解決させるしか無いのかもしてない。

安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学 (ちくま新書)

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他者にリスクを取らせるなら金を払え!