geopoliticsさんの日記(無回転思考)

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専門家不在のブードゥー教育(学)

http://mainichi.jp/select/news/20120508k0000m010085000c.html
橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」の市議団は7日、議員提案を予定していた「家庭教育支援条例案」を白紙撤回することを決めた。条例案は「発達障害は愛情不足が原因」などと指摘する内容で、保護者らの抗議が殺到していた。

http://www.47news.jp/CN/201205/CN2012050701001374.html
橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会大阪市議団は7日、総会を開き、議会提出する意向だった家庭教育支援条例案を白紙撤回し、内容を抜本的に見直す方針を決めた。発達障害がある子の親らでつくる市民団体などが強く反発、条例案提出の中止を要望していた。


この発達障害で初めてけちがついたわけではない。ずっと前からこの集団は教育に関しては素人ではないかと思っていた。
まず発達障害の議論が古すぎる。愛情ではなく脳の障害(今のところ)なので発達「障害」である。

参考資料

 発達障害とは、発達障害者支援法には「自閉症アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害学習障害注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
発達障害とは:文部科学省

例として自閉症

自閉症とは、3歳位までに現れ、他人との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される
主な発達障害の定義について:文部科学省

発達障害者支援法(平成十六年十二月十日法律第一六七号)

この筋の悪さは専門家が嫌いなのか(故に自己の経験や願望を形にしている)、専門家から避けられているのか。
教育は魔術的な要素が未だにあって、俗説、民間療法その他色々なものがはびこっているようである。必要なのは科学的に調べられたエビデンスであって、自分の理念や信じたい復古主義的な伝統教育というファンタジーではない。土台(エビデンス)がだめなら何をしても浪費である。

発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

ちなみに伝統的な教育の結果を知りたければこちら。
戦前の少年犯罪

戦前の少年犯罪

教育を考える人が科学を顧みない。教育が一番必要なのは誰だろうか。
家庭教育という話の発端はこの改正教育基本法からなのか。

第十条  父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2  国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
e-GovSearch

「家庭教育」の隘路―子育てに強迫される母親たち

「家庭教育」の隘路―子育てに強迫される母親たち

維新の会は教育に関してどうも筋が悪い。まともな専門家を入れた方が良い。議員が知っている必要はないが、少なくとも議会に出すときはそれなりの専門家の見識を含んだものにしないと時間の無駄になる。
POSSE vol.15: 橋下改革をジャッジせよ!

POSSE vol.15: 橋下改革をジャッジせよ!

【修正】グレーゾーンへ(5) 触法障害者と非行少年�C グレーゾーン学とアブノーマライゼーション論/ウェブリブログ
周囲に発達障害者・障害児がいても いなくても、それがどういうものか 意外と知られていない、ということ。 - Togetter
http://yuuko-nenne.seesaa.net/article/269144540.html
追記
学会が意見を付けたのは初めてかな。
http://child-adolesc.jp/topics/2012.05.14-%E3%80%8C%E5%A4%A7%E9%98%AA%E7%B6%AD%E6%96%B0%E3%81%AE%E4%BC%9A%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A3%B0%E6%98%8E%E6%96%87%E3%82%92up%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82.html

この条例案は、発達障害に対する地道な臨床研究と脳科学的な病態解明により到達した『発達障害は生来的な脳機能発達の障害を病因とする』という世界的なコンセンサスを否定し、世界標準では完全に否定された発達障害心因論へと数十年時計を逆戻りさせるものであると言わざるをえません。

かつては、発達障害の当事者とその両親は世間から「親の育て方が悪いから発達障害になる」、「子どもが甘やかされた結果だ」などと責められ続け、誤った責任を押し付けられたために多くの悲劇が引き起こされました。

過去のいきさつ経緯を全く無視してぼくのかんがえたすいばらしいせいさくを出すので周りの大人があたふたして否定に走る様は情けないです。既存の否定と新規の決断の行き場はどこでしょうか。
いつか来る選挙に備えて「親学」の人たちリスト - 泣きやむまで 泣くといい
追記
恐れていたことが起こった

http://mainichi.jp/select/news/20120612k0000m040096000c.html
超党派の国会議員でつくる「親学推進議員連盟」が5月末「発達障害を予防する伝統的子育て」をテーマに勉強会を開いたことが分かった。配布資料には発達障害児の育児環境を「(子どもへの)声かけが少ない」とした表や「発達障害児は笑わない」「予防は可能」などの記述もあった。発達障害は子育ての問題だと受け取られかねない内容に、関係者の抗議が殺到、議連側は最終的に陳謝した。

大阪維新の会のときに出された声明文の中に

http://child-adolesc.jp/topics/2012.05.14-%E3%80%8C%E5%A4%A7%E9%98%AA%E7%B6%AD%E6%96%B0%E3%81%AE%E4%BC%9A%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A3%B0%E6%98%8E%E6%96%87%E3%82%92up%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82.html

この条例案の議会への提出は今回は撤回されましたが,ここに存在する発達障害に対する誤解は根深いものがあります。今後はこのような誤解に基づく条例案を提出することのないよう大阪維新の会市議団に要望するとともに,同様の条例案あるいは法案が他の自治体の議会,あるいは国会に提出されることのないよう,子どもの心の育ちと癒しのために親と子の両者を支援することを目指した研究活動と実践活動に取り組む本学会は要望するものであります。

親学推進議員連盟 - Wikipedia
ルイセンコ論争 - Wikipedia

母がしんどい

母がしんどい

パニックダイジテン (アスペルガーの心)

パニックダイジテン (アスペルガーの心)

あの集団の方向性は今回の件に限らず今までの苦労をすべて否定してかつ馬鹿にし、俺たちの方(案)が優れているというものである。例えばあれほど叩かれている電気会社の現場はこのような感じである。
春の嵐の夜に?電力会社社員の「供給本能」を思う? – Global Energy Policy Research
現場レベルでは少なくともこのような感じであり、また現在の手札では現状維持がやっとということを全く見ていない。色々考えたけど大人じゃないというのが一番しっくり来る。すべてを否定することは子供の思考だよね。

追記

http://mainichi.jp/feature/news/20121206ddm041100137000c.html
発達障害:小中生61万人 4割支援受けず 普通学級、平均2〜3人−−文科省調査・推計

調査は今年2〜3月、学習障害(LD)▽注意欠陥多動性障害ADHD)▽高機能(知的発達の遅れのない)自閉症−−の発達障害の主な3要素について、44都道府県の普通学級に通う計5万3882人を抽出し、担任教諭が回答した。

 「文章の要点を読み取れない」「簡単な計算ができない」などLDがあり、学習面で著しい困難がある小中学生は4・5%。「教室で離席する」などのADHDが3・1%。「周りの人が困惑することを配慮せず言う」などの高機能自閉症は1・1%。一部はこれらが重複していた。

海外の研究でも6%と言われているので妥当と思われる。実際はもっといるかもしれない。診断基準でまた変わると思われる。今回はアンケートです。

発見(再発見)されたのが90年代なので、新たに発生したわけではなく昔からいたと思われる。

発達障害に気づかない大人たち (祥伝社新書 190)

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窓ぎわのトットちゃん (講談社文庫)

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留年検討(大阪)という話が以前あったので資料を提示しておく。
留年制度は効率的で効果的か? / 畠山勝太 / 国際教育開発 | SYNODOS -シノドス-
Language, Reading, and Math Learning Profiles in an Epidemiological Sample of School Age Children

ここで鮮明になるのは「国が決定 → 学校・住民・保護者が協力」という上意下達の枠組みである。逆に、国へ意見や要望を述べる権利は保障されていない。
国家が家族に介入って…「家庭教育支援法案」が描く恐怖の未来図(大前 治) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)