工学化する世界~本のKPI~
前々から不毛地帯と言われていたやりかたを業界側からの指摘。まとめると昔からある古典的な手法を使っている。
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https://b.hatena.ne.jp/entry/s/web.archive.org/web/20190517201017/https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R23HY916GAL7S2
1.ランキングジャック
2.褒め合いによる評価水増し
これは昔からある戦術。
1.は紀伊國屋書店本店で信者が大量購入する。
そうすると売り上げデータを見たところは売れていると勘違いして仕入れる。かつて紀伊國屋本店のランキングが地方の書店の指標になったという。
(そう言えば自腹で2000万使って買った某芸人もいた。)
大量の事前予約もあって途中でキャンセルみたいなことも起きたらしい。
これをアマゾンでやった。
「良い物だから売れている」から「売れているから良い物」へ。
「信者を集めたサロンビジネス」ということで構図はあまり変わらない。ジャンルは自己啓発の本。「生け簀(イケス)」というのは言い得て妙。そこにばらまく。
握手券をつけてCDを売るAKB商法と同じと言った人がいたがメインは内容ではない。ランキングはジャックできる。そしてオリコンが信頼できなくなった。
(オリコン=オリジナル・コンフィデンス。コンフィデンスは信頼の意味)
こういう焼き畑農業的な手法はいろいろ狂わすのである。
2.は学術論文だとお互いが引用しあって水増しする。引用件数が学者業界での実績になるから。ちなみにノーベル賞になる研究は最初はあまり引用されない。
褒め合うと良い物に見えるバブルが起きる。何々推薦というあれ。だいたい同じ人が回しているので名前は数人しかいないはず。
他者の評判というテクニック
これはかつて劇画村塾で教えていた小池和夫が演出論で他者からの評価が一番効くと言っていたらしい(さくまあきら氏が述べていた)。自分で「俺は強い。」より「あいつは強いらしい」と言われた方が強そうに見える。フリーザを恐れるベジータ役です。こうするとフリーザがとても強く見える。「知っているのか雷電?!」 主人公がしゃべらないドラクエはまさにこの原則を守っている。堀井雄二も小池塾の出身者です。
合わせ技一本
この二つを合わせて架空の実績を作る。売れているから架空ではないし、実際数字も出ている。たしか売り上げ50億円くらい。
ふろむだ氏が提言する勘違いさせる能力=錯覚資産(R)です。
まとめると工学化する世界ですね。KPIを設定してぶん回す。内容はどうでも良い。「良い物を売る」から「売れる物を作る」になって、「ゴミでも売れる」に進化した。
いわゆる受験特化型秀才でこれははまると強い。圧倒的分析能力を使って知力と体力を効率よくぶち込む。漢文がテストに出ないと一切手をつけない。テスト対策ばっちりという偏差値人間が最も得意とするジャンルです。既存のルートを使う(ハックする)だけで、新規に価値を作らない。
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本はベストセラーよりロングセラーです。
最近この手法をテレビが使っているような気がする。もともとテレビという権威装置(錯覚装置)でスターを作り出すことに長けていたけど。テレビスターから選挙とかね。
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善意で低コストで回していた業界をハックしてフリーライドした。この次は高コストの仕組みができて業界ごと地獄に落とす。
[B! 出版] 出版業界のハッキングとは何だったのか 06/10|久保内信行|note
公職選挙法と同じ。なぜ供託金が高いかというと低コストで自分を宣伝できるから。他に選挙用の指定はがきを横流しする。選挙制度のバグをついた仕組みを利用した。それを押さえるための高い供託金がある。そういったことをしてきた人は泡沫候補と言われる。一部の人が水に毒を入れてたら参加者全員が高い浄水装置を買う羽目になった。
天才はおらず、必要なことを愚直にやること。努力に勝る天才はいない。平凡は妙手にまさる。それを体現したのか。
もちろん全員がやって全員が上手くいくわけではない。手品の種明かしで「なーんだ」だけど実際にできるわけではない。だから秘密にして高く売る演出(錯覚資産)が必要だったのかも。
単純でつまらないことを継続できる愚鈍さは敬服する。
二一世紀は迷える子羊を扱える教祖が必要になっている。
島田紳助はたぶんそれが上手かった。